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圓福 第136号

圓福 第136号

謹啓 人の体温以上の猛暑日だけでなく、四十度以上の酷暑日もあり、今年は、梅雨も短く、毎日厳しい暑さが続いています。皆様におかれましては、如何お過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
 さて、今回も、法然上人のお言葉から、私達の日常生活のあり方を学びたいと思います。
 
ある時には、世間の無常なる事を思いて、この世の幾程なき事を知れ
「ある時には、この世の全てが、無常である事を思って、この私の人生が、いかほども、長くない事を知りなさい。」
 
先日、小さな地震がありました。既に、南海トラフの大地震は、今後三十年以内に八十%の確立で起こると言われています。激しい揺れと津波で、甚大な被害が日本を襲うと言う事ですから、ジタバタしても仕方ないと、お念仏をしておりました。振り返って見れば、五十年近く前の高校生の時が、一番、色々な物が欲しくて、アルバイトに明け暮れていました。物持ちは良い方なので、初めて買ったスラックスは、今も大事に残っていますし、初めてのスーツも今でもちゃんと着られます。考えてみると、昔の服は、値段も高く、しっかりとした縫製で、生地も良く、当然日本製です。スーツも五十年近く前なのに、十万円近くした事を覚えています。その当時、時給は、三百円前後でした。最近、リユースと言う言葉を聞くようになり、中古の服なども手軽に買えるようになり、名古屋のコメ兵は、昨年度一千億円を超える売上をあげました。物を大切にする人が増えてきたのではなくて、ろくに使いもせずに手放す人が居るから、品物が有り、この様な結果なのだと驚いています。大量消費こそが企業を大きくし、利益をもたらします。壊れてすぐに使えなくなるような物が、買い替え促し、新たな消費を生むからです。しかし、日本車は、とても堅牢でアスファルトの道しか走っていないので、海外ではどんなに古くても飛ぶように売れていきます。先日も中古車オークションの様子がテレビで流されていましたが、海外のバイヤーで、日本人はほとんど居ないという事でした。ところが、日本では、十三年以上乗ると一気に税金が高くなり、部品は無くなり、もっと古くなるとさらに税金も上がります。
 どんなに新しい物でも人は簡単に何かの機会で飽きてしまいます。ましてや、自分が病気になったり、歳を取れば自然と死を意識して、物欲は無くなります。それでも大切な思い出は絶対に無くならず、色あせません。時には法然上人のお言葉の様に、死を意識して、本当に今、必要な物を求めましょう。
 下記の通り、秋のお彼岸法要を勤めます。ご家族、お友達、お誘い合わせ是非、お参り下さいますようご案内申し上げます。

合掌

九月十九日(金)


午前十一時半

昼食接待

午後十二時半

住職、他説教

午後一時半

彼岸施餓鬼法要